二律背反とは?
にりつはいはん
二律背反とは、同等に正当に見える二つの命題が互いに矛盾し合う状況を指し、カントの哲学において理性の限界を示す概念として体系化されました。
二律背反(アンチノミー、Antinomie)は、ある問題について正反対の二つの命題がともに正しく見えるか、あるいはともに誤りに見える論理的矛盾の状況を指します。日常語では「矛盾」「板挟み」と近い意味でも用いられますが、哲学的にはカントが『純粋理性批判』(1781年)で体系的に論じた概念として特に重要です。
カントは「世界には始まりがあるか、ないか」「物質は無限に分割できるか、できないか」「自由意志は存在するか、しないか」「神は存在するか、しないか」という四対の命題(正命題・反命題)をそれぞれ論証できることを示し、これを「四つの二律背反」と呼びました。
カントはこれらが矛盾を生む理由として、人間の理性が経験の限界を超えた「物自体」や「世界全体」について語ろうとするときに陥る必然的な誤りだと説明します。
- 第一・第二の二律背反(数学的):正命題・反命題ともに誤りとして解消
- 第三・第四の二律背反(力学的):正命題・反命題がそれぞれ異なる文脈で成立しうると解消
現代でも「二律背反」は法・倫理・政治の場面で「どちらの原則も正当だが両立しない」状況を表す言葉として使われており、思考の限界と誠実さを示す重要な概念であり続けています。
使い方・例文
「個人の自由を最大化したいという原則と、社会全体の安全を守りたいという原則は、感染症対策の場面でしばしば二律背反の関係に陥る。」
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