両利きの経営とは?
りょうききのけいえい
両利きの経営とは、既存事業の改善・効率化(深化)と、新しい事業領域への探索・挑戦(探索)を同時に高い水準で追求する経営スタイルです。
両利きの経営(Ambidexterity)は、スタンフォード大学のチャールズ・オライリーとハーバード大学のマイケル・タッシュマンが提唱した経営理論です。2016年の共著『Lead and Disrupt』で体系化され、日本でも入山章栄氏らの解説により広く知られるようになりました。
「両利き」とは、右手(既存事業の深化)と左手(新規事業の探索)を同時に使いこなす能力を意味します。
- 深化(Exploitation):既存事業のプロセス改善・コスト削減・品質向上・顧客基盤の拡大など、現在の強みを磨く活動
- 探索(Exploration):実験・試行錯誤・新技術や新市場への挑戦、将来の事業の種を見つける活動
多くの企業は短期的な成果が見えやすい「深化」に資源を集中させる傾向があります。しかしそれだけでは環境変化に対応できなくなる「コンピテンシー・トラップ」に陥るリスクがあります。逆に「探索」だけでは収益が安定せず、組織が持続しません。両者のバランスを維持することが長期的な企業存続の鍵とされています。
実践の上での課題は、探索事業と深化事業では求められる文化・評価基準・意思決定速度がまったく異なることです。そのため多くの企業では、構造的に両事業を分離しつつ、トップマネジメントが統合的にマネジメントするアプローチが推奨されています。富士フイルムがフィルム事業の縮小を乗り越えてヘルスケアや化粧品分野を開拓した事例は、両利きの経営の成功例として頻繁に引用されます。
使い方・例文
スマートフォン普及でデジタルカメラ市場が縮小する中で、写真フィルムの技術を医薬品や化粧品に転用して成長を続けた企業の取り組みは、両利きの経営の実践例として広く語られます。
この用語をシェア
最終更新: