ベルの不等式とは?
べるのふとうしき
ベルの不等式とは、量子力学の「絡み合い」が古典的な隠れた変数では説明できないことを示す、物理学上の重要な不等式です。
ベルの不等式(Bell's inequality)は、1964年に北アイルランド出身の物理学者ジョン・スチュワート・ベル(John Stewart Bell)が導出した数学的不等式で、量子力学の非局所性を検証するための理論的枠組みです。
背景には「EPRパラドックス」があります。アインシュタイン・ポドルスキー・ローゼンは1935年に、量子力学は「不完全」であり、観測前から粒子の状態を決めている「隠れた変数」が存在するはずだと主張しました。ベルはこの隠れた変数理論が正しければ必ず満たされるべき不等式(ベルの不等式)を導きました。
量子力学の予測ではこの不等式が破れる(違反する)ケースがあることが示されます。実験的検証は1970〜80年代にアラン・アスペらが行い、量子力学の予測通りにベルの不等式が破れることが確認されました。これは隠れた変数理論の否定を意味し、量子絡み合いは古典的な因果関係では説明できないことを実証しました。
ベルの不等式の違反が確認されたことの意義は以下のとおりです。
- 量子力学の非局所的相関(量子絡み合い)が実在することの証明
- 古典的な「実在論+局所性」の組み合わせの否定
- 量子暗号・量子通信など量子情報技術の理論的基盤の確立
この業績を讃え、アスペ・クラウザー・ツァイリンガーの3名が2022年のノーベル物理学賞を受賞しています。
使い方・例文
量子コンピュータや量子暗号の安全性の根拠となる量子絡み合い現象の実在は、ベルの不等式の実験的違反によって証明されており、現代の量子情報技術の理論的出発点となっています。
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