デコヒーレンスとは?
でこひーれんす
デコヒーレンスとは、量子系が環境と相互作用することで量子的な重ね合わせ状態が失われ、古典的な状態に移行する過程です。
デコヒーレンス(decoherence、量子デコヒーレンス)は、量子力学的な重ね合わせ状態が環境との相互作用によって急速に失われ、系が事実上古典的な確率分布に移行するプロセスです。「量子のコヒーレンス(位相の一致)」が「崩壊(de-)」することを意味します。
量子系を完全に外界から遮断することは現実には不可能であり、系は必ず周囲の熱浴・光子・他の粒子と相互作用します。この相互作用により、系と環境の間に量子もつれが形成され、系の量子状態の位相情報が環境へ拡散・散逸します。外部観測者には、重ね合わせ特有の干渉効果が消えたように見えます。
デコヒーレンスの特徴は以下のとおりです。
- 時間スケールが非常に短い:マクロな物体では10⁻²³秒以下のオーダー
- 可逆性:原理的には完全にユニタリ(情報は失われていない)だが、実用上は不可逆
- 観測問題への示唆:「波束の収縮」の一部を説明できるが、観測問題を完全には解決しない
- 量子コンピュータの障壁:計算中に論理量子ビットが古典化し誤りを引き起こす
量子コンピューティングにおいては、デコヒーレンス時間(T₁・T₂)を延ばすことが回路の深さを増やす上で最大の技術的課題であり、低温環境・電磁シールド・誤り訂正符号など様々なアプローチで対策が取られています。
使い方・例文
超伝導量子ビットは数十ミリケルビンの極低温に冷却してもデコヒーレンス時間が数十〜数百マイクロ秒程度であり、この時間内に量子計算を完了させる設計が求められます。デコヒーレンスはまた、なぜ日常的な物体が量子的干渉を示さないかを説明する概念としても重要です。
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