タシスムとは?
たしすむ
タシスムとは、1940〜50年代のフランスで起きた抽象絵画運動で、計算や理性を排し、絵具の染みや斑点を自由に置く即興的な手法によって内的感情を表現しようとした芸術潮流です。
タシスム(Tachisme)は、1940年代後半から1950年代にかけてフランスを中心に展開した抽象絵画の運動および傾向を指します。フランス語の「tache(タッシュ:染み・斑点)」を語源とし、絵具の染みや塊、たらし込みなど偶発的・即興的な痕跡を絵画の主体とする点が最大の特徴です。
タシスムは批評家のミシェル・タピエが1952年頃に提唱した概念で、その後ヨーロッパ的な抽象表現主義を広く包括する言葉として用いられました。アメリカのアクション・ペインティング(ポロックらの抽象表現主義)と同時代的に並行して発展しており、両者は相互に影響を与え合いました。
タシスムの特徴的な要素は以下の通りです。
- 事前の計画を排した即興・偶発的な描画行為
- 滴らせる・飛び散らせる・引っかくなど多様なマチエール(画面の質感)表現
- 感情や無意識の内的衝動を絵具の痕跡として直接表出する
- 形態の消去と色と物質そのものへの注目
代表的な作家にはジャン・フォトリエ、ジョルジュ・マチュー、ヴォルス(アルフレッド・オットー・ヴォルフガング・シュルツェ)などがいます。タシスムはアンフォルメル(informel:非定形)運動とも深く重なり合い、戦後ヨーロッパ美術の重要な潮流として美術史に位置づけられています。
使い方・例文
美術館の現代アートの展示室で、絵具を滴らせたり叩きつけたりした跡が画面を覆う大型キャンバスを見かけたとき、それがタシスムやアンフォルメルの文脈で語られることがあります。
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