アーベル多様体とは?
あーべるたようたい
アーベル多様体とは、代数幾何学において群の構造を持つコンパクトな複素多様体(または代数多様体)のことです。
アーベル多様体(Abel多様体、英:Abelian variety)は、代数幾何学の中心的な研究対象のひとつで、加法的な群の構造(アーベル群の構造)を備えた射影代数多様体のことを指します。名称はノルウェーの数学者ニールス・ヘンリック・アーベル(Niels Henrik Abel)にちなんでいます。
最も身近な例は楕円曲線(1次元のアーベル多様体)です。楕円曲線は平面上の3次方程式で定義される曲線で、そのユニークな点の加算則によりアーベル群の構造を持ちます。これを高次元に一般化したものがアーベル多様体です。
アーベル多様体の重要な性質として以下が挙げられます。
- 射影空間に埋め込まれたコンパクトな代数多様体である
- 加算・逆元操作が代数的(正則)に定義される
- 複素トーラス(複素ユークリッド空間をある格子で割った商空間)として表現できる
- 周期行列・リーマン条件によって特徴付けられる
アーベル多様体は数論(フェルマーの最終定理の証明などに関わる)、暗号理論(楕円曲線暗号など)、保型形式の理論など、現代数学の多くの分野と深く結びついています。研究が進む今日でも未解決問題が多く残る、代数幾何学の最重要テーマのひとつです。
使い方・例文
アーベル多様体は暗号技術の文脈でも登場します。スマートフォンの通信セキュリティに用いられる楕円曲線暗号(ECC)は、アーベル多様体の特殊ケースである楕円曲線の群構造を利用した技術です。
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