アンバーグリスとは?
あんばーぐりす
アンバーグリスとは、マッコウクジラの消化管内で生成される天然の固形物で、甘く独特の海洋的な香りを放つ最も希少な香料原料のひとつです。
アンバーグリス(Ambergris)は、マッコウクジラ(Physeter macrocephalus)の腸内で形成される蝋状の固形物質です。クジラがイカなどを消化する際に生成されると考えられており、クジラが排出したものが海上を長期間漂流する中で酸化・熟成し、独特の香りへと変化します。
新鮮なものは不快な匂いを持ちますが、数年〜数十年にわたって海水・太陽光・空気にさらされることで、甘く・柔らかく・温かみのある海洋的かつムスキーな香りへと熟成します。主成分はアンブレイン(Ambrein)と呼ばれるトリテルペンアルコールで、これが熟成・酸化することでアンブロキサンなどの香気成分へと変化します。
香水原料としての特徴は以下の通りです。
- 香りそのものだけでなく、他の香料の香りを長く持続させる「定着剤(フィクサティブ)」としての効果が際立っている
- 数グラムで多大な価値を持つ最高級の天然香料のひとつ
- エジプト時代から香料・薬・媚薬として珍重されてきた歴史がある
現在は国際的なクジラ保護の観点から商業捕鯨が制限されており、天然アンバーグリスの入手はきわめて困難です。多くの高級香水ブランドでは合成代替品であるアンブロキサン(Ambroxan)や類似合成香料が使用されています。日本を含む多くの国では、海岸で漂着したものを拾得する形での取得は法律上グレーな部分があり、取り扱いには注意が必要です。
使い方・例文
高級香水の原料として「アンバー」や「アンバーグリス」の名が登場する場合、今日では主に合成代替品を指すことがほとんどです。稀に海岸でアンバーグリスらしき塊が発見されたニュースが取り上げられる場面でもこの語が登場します。
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