ヘルツォーク&ド・ムーロンとは?鳥の巣を設計した建築家
公開 2026年8月12日
幼なじみが結成した建築家ユニット
ヘルツォーク&ド・ムーロンは、1950年生まれのジャック・ヘルツォークとピエール・ド・ムーロンという、スイス・バーゼル出身の二人の建築家によるユニットです。二人は幼い頃からの友人同士で、同じ大学で建築を学んだのち、共同で設計事務所を設立しました。以来、常にコンビとして数々のプロジェクトを手がけています。
素材の質感を前面に出した外装デザイン
彼らの建築の大きな特徴は、コンクリートや銅、ガラスといった素材そのものの質感や表情を大胆に見せる外装デザインにあります。装飾を加えるのではなく、素材の持つ本来の魅力を引き出すことで、建物ごとに強い個性を生み出しています。この独自のアプローチは、世界の建築界から高く評価されました。
テート・モダンー発電所からの大転換
代表作のひとつが、ロンドンのテムズ川沿いにある美術館「テート・モダン」です。もともと使われていなかった発電所の建物を大胆に改修し、巨大な発電機のあったホールをそのまま展示空間として活用しました。産業建築の骨格を残しながら、現代美術館としての新しい価値を生み出したこのプロジェクトは、建築の保存と再生のあり方に大きな影響を与えました。
北京オリンピックスタジアム「鳥の巣」
2008年の北京オリンピックのメインスタジアムとして建設された「鳥の巣」も、彼らの代表作として広く知られています。鉄骨の部材が複雑に絡み合った外観は、まさに鳥の巣を思わせる有機的な造形で、競技場としての機能性と彫刻的な美しさを兼ね備えています。
多彩な作品群
ヘルツォーク&ド・ムーロンの仕事は、美術館やスタジアムにとどまりません。ワイナリーや集合住宅、企業の本社ビルなど、規模や用途を問わずさまざまな建築を手がけており、それぞれの敷地や用途に応じて素材や構造を柔軟に変化させる姿勢が高く評価されています。中国や中東、アメリカなど、世界各地でプロジェクトを進めていることも彼らの特徴です。
建築教育への貢献
ジャック・ヘルツォークは、母校であるスイス連邦工科大学チューリッヒ校で教授として長年教鞭を執り、次世代の建築家の育成にも力を注いできました。実務と教育の両方に携わることで、彼らの革新的な設計思想は多くの若い建築家たちにも受け継がれています。
プリツカー賞受賞とその後の活躍
これらの功績が認められ、ヘルツォーク&ド・ムーロンは2001年に建築界最高の栄誉とされるプリツカー賞を受賞しました。その後もドイツのミュンヘンにあるサッカースタジアム「アリアンツ・アレーナ」など、世界各地で独創的な建築を発表し続けています。
チームで取り組む設計手法
ヘルツォーク&ド・ムーロンの事務所では、ふたりのパートナーだけでなく、多くのパートナー建築家やスタッフが一体となってプロジェクトを進める体制がとられています。ひとつの建物ごとに専用のチームを編成し、素材の実験や模型製作を重ねながら設計を練り上げていく姿勢が、彼らの独創的な作品を生み出す原動力となっています。