非平衡熱力学とは?
ひへいこうねつりきがく
非平衡熱力学とは、熱・物質・電荷などの流れが生じている平衡から外れた系を対象とし、そのような系の不可逆過程を記述する熱力学の分野です。
非平衡熱力学(ひへいこうねつりきがく、non-equilibrium thermodynamics)とは、系が熱力学的平衡状態から離れており、温度勾配・濃度勾配・電位差などによって持続的な流れ(熱流・物質流・電流)が存在する状態を扱う理論体系です。古典的な平衡熱力学では扱えない不可逆過程の記述を目指します。
平衡熱力学では温度・圧力・化学ポテンシャルといった状態量が均一な系を扱いますが、現実の現象の多くは非平衡状態で生じます。非平衡熱力学では「局所平衡の仮定」(微小領域では平衡が成立するとみなす)のもとで、エントロピー生成率を軸に不可逆過程を体系化します。
非平衡熱力学の主要な概念と成果には以下があります。
- オンサーガーの相反定理:線形非平衡領域において、異なる流れと力の間の輸送係数が対称であることを示す基本定理
- 最小エントロピー生成の原理:線形領域の定常状態はエントロピー生成が最小となるというプリゴジンの原理
- 散逸構造:非平衡開放系が自発的に秩序を形成するベナール対流や化学振動など
- 線形・非線形応答理論:揺動散逸定理や緑久保公式など
非平衡熱力学は生命現象・化学反応・気象・材料プロセスなど、自然界と工学の広範な分野の理解に不可欠な理論基盤となっています。
使い方・例文
熱電素子(ペルチェ素子・ゼーベック素子)の動作原理は非平衡熱力学の線形応答理論で記述され、温度差から電気を生み出したり電力で冷却したりする現象を定量的に扱えます。
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