道具主義とは?
どうぐしゅぎ
道具主義とは、科学理論は世界の真実を記述するものではなく、予測や実践に役立てるための「道具」であると主張する科学哲学の立場です。
道具主義(instrumentalism)は科学哲学の一立場で、科学的理論や概念の価値を「現象の予測・説明・制御に役立つかどうか」という実用的な基準で評価します。理論が世界の実在を正しく記述しているかどうか(真偽)は問題にしないか、あるいは問うことができないとする考え方です。
道具主義の淵源はプラグマティズムにあり、ジョン・デューイは認識を世界の「鏡」ではなく、問題を解決するための「道具」と捉えました。科学哲学においては、素粒子・場・波動関数のような観察不可能な理論的実体が本当に存在するかを問う「科学的実在論」論争の文脈で道具主義が重要な役割を果たします。
道具主義的解釈が特に議論されてきた事例を挙げると次のとおりです。
- 量子力学:波動関数が何を意味するかよりも、計算結果が実験と合えばよいとする立場
- コペルニクスの地動説:当初は計算の便宜として受け入れられた
- 気体分子運動論:分子の実在を認めずとも熱現象の計算に使えるという見方
道具主義の長所は理論の過剰な形而上学的コミットメントを避けられる点にありますが、科学が単なる「道具の束」になれば科学的説明の深みが失われるという批判もあります。現代科学哲学では実在論・道具主義の論争は今もなお続いています。
使い方・例文
「道具主義の立場に立てば、量子力学の方程式は電子が『どういうものか』を教えるのではなく、実験結果を正確に予測するための道具として使えれば十分とみなされる。」
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