権利濫用とは?
けんりらんよう
権利濫用とは、形式的には正当な権利の行使であっても、その目的や態様が社会的に許容できない場合に、その行使が認められないとする法的原則です。
権利濫用(けんりらんよう)とは、法律上認められた権利であっても、その行使が社会的妥当性を逸脱し、他者に不当な損害を与える場合に、権利行使として保護されないとする法原則です。「権利の濫用は、これを許さない」と定める日本民法第1条第3項に明文化されています。
権利濫用が成立するかどうかは、次のような要素を総合的に判断します。
- 権利行使によって行使者が得る利益の小ささ
- 相手方または第人が被る損害・不利益の大きさ
- 権利行使の目的が正当かどうか
- 社会通念・信義誠実の原則に反しないか
著名な判例として、宇奈月温泉事件(1935年・大審院)があります。これは、温泉引湯管が他人の土地を一部通過していることを知りながら土地を安価で取得し、極めて高額な立退き料を要求した事案で、裁判所は土地所有権の行使が権利濫用に当たると判断しました。
権利濫用の禁止は、民法の基本原則である信義誠実の原則(信義則)と密接に関連しており、私法秩序における公正性を確保するための重要な概念です。労働法・家族法・知的財産法など幅広い法分野で適用されます。
使い方・例文
隣家との境界上に立つ木の枝が越境しているからといって、即座に莫大な賠償を請求したり、業務妨害目的で商標権を行使したりする行為が、権利濫用として認められない場合があります。
この用語をシェア
最終更新: