構造的多面性とは?
こうぞうてきためんせい
構造的多面性とは、同じ遺伝子が体の複数の異なる形質や機能に影響を及ぼす現象で、多面発現(プレイオトロピー)とも呼ばれます。
構造的多面性(Structural Pleiotropy)とは、ひとつの遺伝子またはタンパク質が複数の異なる表現型形質や生理的機能に影響を与える現象を指します。より広く「多面発現(Pleiotropy)」とも呼ばれ、一遺伝子一形質の単純な対応関係が生物界では例外的であることを示しています。
多面性が生じる主な理由としては、以下が挙げられます。
- 一つの遺伝子産物(タンパク質)が複数の組織・細胞で発現し、それぞれ異なる役割を担う
- シグナル伝達経路の上流にある遺伝子は、その経路が制御する多くの下流プロセスに影響する
- 同一の酵素が異なる代謝経路の複数反応を触媒する
- タンパク質の物理的な構造変化が複数の結合相手との相互作用を変える
多面発現の典型的な例としてはフェニルケトン尿症(PKU)があります。PKUでは苯丙氨酸水酸化酵素の遺伝子異常が、知的障害・皮膚色素異常・精神症状など複数の症状(表現型)を引き起こします。また、FGF受容体遺伝子の変異は骨の成長障害に加えて、皮膚・脳・耳などさまざまな器官に異常をきたすことがあります。
進化生物学の観点では、多面発現は自然選択の対象が「個々の形質」ではなく「遺伝子型全体」に対して働くことを意味し、ある形質の選択が別の形質に意図せず影響を与える「拮抗的多面発現」が生物の寿命や老化とも関わるとして注目されています。
使い方・例文
鎌状赤血球症の原因遺伝子は、ヘモグロビンの変形という表現型を引き起こす一方で、マラリア原虫が赤血球に感染しにくくなるという別の効果ももたらし、マラリア流行地域では保有者が有利になるという多面的な影響を示します。
この用語をシェア
最終更新: