下方比較とは?
かほうひかく
下方比較とは、自分よりも状況が悪いと感じる他者と自分を比べることで、自己評価や気分を改善しようとする心理的なプロセスです。
下方比較(downward social comparison)は、社会的比較理論の中で重要な概念のひとつです。心理学者レオン・フェスティンガーが提唱した社会的比較理論によれば、人は自分の能力や意見を評価するとき、他者との比較を通じて行います。比較の方向には、自分より優れた他者と比べる上方比較と、自分より劣っていると認識される他者と比べる下方比較の二種類があります。
下方比較は、特に自己評価が脅かされているとき、つまりストレス・失敗・不安を感じている状況で多く起こります。自分より状況が悪い他者を参照点にすることで、「自分はまだましだ」「自分はうまくやっている」という感覚が生じ、気分の改善や自尊心の回復に役立つとされています。
下方比較が生じやすい場面としては次のものがあります。
- 病気の際に「もっと重症な人もいる」と考える
- 仕事の失敗後に「もっとひどい失敗をした人もいる」と思う
- 不運な出来事に際し、より不運な他者の事例を想起する
ただし、下方比較が常に有効とは限りません。過度に行うと他者への共感が低下したり、自己改善の動機が失われたりするリスクもあります。また、自分が将来その「下方の他者」と同じ状況になりうると感じると、かえって不安が高まる場合もあります。
使い方・例文
試験の点数が低くて落ち込んでいるときに、「もっと低い点数の人もいたし、自分はまだ大丈夫」と思うことが下方比較の典型的な使われ方です。
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