マルチフォニクスとは?
まるちふぉにっくす
マルチフォニクスとは、管楽器や声楽において一度に複数の音を同時に鳴らす現代音楽の演奏技法のことです。
マルチフォニクス(multiphonics)とは、本来一つの音しか出せないとされてきた管楽器(フルート・クラリネット・サクソフォン・オーボエなど)や人の声で、特殊な奏法によって同時に複数の音高(倍音成分)を鳴らす演奏技法です。20世紀以降の現代音楽・実験音楽において広く用いられるようになりました。
管楽器でマルチフォニクスを実現するには、通常の運指とは異なる特殊な指使い、息の圧力・角度・速度の微妙なコントロール、唇(アンブシュア)の形状変化などを組み合わせます。楽器の共鳴管内で複数の定在波が同時に発生することで、倍音が複雑に絡み合った独特の音色が生まれます。声楽では咽頭や鼻腔を使い分けることで複数の音域を同時に鳴らすホーミー(倍音唱法)が広義のマルチフォニクスに含まれることもあります。
現代音楽における主な用途は次のとおりです。
- 音色の拡張:金属的・ざらざらした・息混じりの独特な音響効果
- 和音的効果:単音楽器で和声的な響きを表現する
- 音楽的緊張感:不協和・摩擦感のある音響によるドラマ的表現
ルチアーノ・ベリオやカールハインツ・シュトックハウゼンなどの作曲家の作品で積極的に活用され、現代のフルートやサクソフォンの独奏曲では欠かせない技法の一つとなっています。演奏難度が高く、奏者には高度なコントロール能力が求められます。
使い方・例文
現代音楽のフルート独奏曲の楽譜で、重なる複数の音符が特殊な指使い記号とともに記されている場合、それはマルチフォニクスによる演奏を指示しています。
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