バンコマイシン耐性腸球菌とは?
ばんこまいしんたいせいちょうきゅうきん
バンコマイシン耐性腸球菌とは、抗生物質バンコマイシンへの耐性を獲得した腸球菌属の細菌で、院内感染対策上とくに重要な多剤耐性菌です。
バンコマイシン耐性腸球菌(VRE:Vancomycin-Resistant Enterococcus)は、腸球菌属(Enterococcus faecalis・E. faecium など)の細菌がグリコペプチド系抗生物質であるバンコマイシンに対する耐性を獲得したものを指します。
腸球菌はもともとヒトや動物の腸管内に常在する細菌ですが、抗菌薬への曝露を繰り返す中でvan遺伝子群(vanA、vanBなど)を持つ耐性プラスミドを取り込み、VREへと変化します。バンコマイシンは他の多くの抗生物質が効かない場合の「切り札」とも呼ばれる薬剤であるため、VREへの感染は治療選択肢が著しく限られます。
VREの特徴として以下が挙げられます。
- 免疫低下患者(血液疾患・臓器移植後・長期入院患者)で感染リスクが高い
- 病院環境や医療器具の表面で長期生存できる
- 接触感染によって医療従事者を介して伝播しやすい
- 尿路感染・菌血症・心内膜炎などを引き起こす
日本では「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)において5類感染症に指定されており、医療機関には届出義務があります。院内感染対策として手指衛生の徹底、個室隔離、接触予防策が基本となります。治療にはリネゾリドやダプトマイシンなどの代替薬が使用されます。
使い方・例文
長期入院中の患者や免疫抑制療法を受けている患者が院内感染を起こした際の原因菌調査や、病院の感染対策マニュアルの解説で「バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)」が登場します。
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