ダニロ・キシュとは?
だにろきしゅ
ダニロ・キシュは旧ユーゴスラビア出身の作家で、ホロコーストと全体主義の記憶をテーマにした精密な文体で知られます。
ダニロ・キシュ(Danilo Kiš、1935〜1989年)はセルビア(旧ユーゴスラビア)のスビティツァ生まれの作家です。ユダヤ系の父を持ち、第二次世界大戦中に父をアウシュビッツで失ったという経験が、その文学の核心をなしています。
ベオグラード大学で学んだ後、フランスやアメリカの大学でセルビア・クロアチア語の教鞭をとり、晩年はパリに定住しました。セルビア語で創作しながら、フランス語にも堪能であり、西欧の文学的手法と東欧の歴史的経験を融合させた独自の文学世界を構築しました。
代表作と特徴は以下のとおりです。
- 『砂時計』『庭、灰』— 父とホロコーストをテーマにした自伝的三部作の中核をなす作品
- 『ボリス・ダヴィドヴィッチの墓』— スターリン主義の犠牲者たちを描いた短編集で、剽窃論争を巻き起こした問題作
- 『死者の百科事典』— 歴史・記憶・死をテーマにした幻想的短編集
- 資料や文書を活用したドキュメンタリー的な文体
キシュは「旧ユーゴスラビア最大の作家」とも評され、スーザン・ソンタグやジョーゼフ・ブロツキーといった同時代の知識人から高い評価を受けました。その作品は政治的暴力と個人の記憶の問題を鋭く問い直すものとして、今日も世界各地で読まれています。
使い方・例文
東欧文学やホロコースト文学を学ぶ際に、ダニロ・キシュの作品が重要な参照テキストとして紹介されます。
この用語をシェア
最終更新: