誘導ラマン散乱とは?
ゆうどうらまんさんらん
誘導ラマン散乱とは、強い光が物質に照射された際に、分子振動と相互作用して光のエネルギーが特定の波長にコヒーレントに変換される非線形光学現象のことです。
誘導ラマン散乱(Stimulated Raman Scattering、SRS)とは、強い光(通常はレーザー)が物質中を伝播する際に、光子と分子振動の相互作用によってポンプ光のエネルギーが特定の波長シフトした光(ストークス光)へコヒーレントに増幅される非線形光学現象です。
通常の(自発)ラマン散乱では光子が分子と相互作用し、分子の振動エネルギー分だけ波長がシフトした光が散乱されます(ストークス散乱・アンチストークス散乱)。一方、誘導ラマン散乱では入射光が十分に強いとき、この過程が誘導放出的に連鎖して増幅され、高い変換効率でシフト光が生成されます。
誘導ラマン散乱の特徴と応用を挙げると以下のとおりです。
- ファイバーレーザー・ラマンレーザー: 光ファイバーを媒質としてポンプ光を任意波長にシフトさせ、出力波長を拡張する
- ラマン増幅: 光通信において光ファイバー中でラマン増幅器として信号を増幅する
- 超短パルス圧縮: 誘導ラマン散乱を利用して超短光パルスを生成・圧縮する
- 顕微鏡・分光: SRS顕微鏡では薬物・脂質などの分子を高感度・高速にイメージングできる
高出力レーザーシステムでは意図せぬSRSが発生してビーム品質を劣化させる場合もあり、設計上の重要な考慮事項にもなっています。
使い方・例文
光通信の長距離伝送で信号が減衰するのを補うため、光ファイバー中の誘導ラマン散乱を利用して信号光を直接増幅するラマン増幅器が実用化されています。
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