自然主義的誤謬とは?
しぜんしゅぎてきごびゅう
自然主義的誤謬とは、「自然であること」や「事実であること」から直接「善い」「正しい」という価値判断を導き出す論理的な誤りのことです。
自然主義的誤謬(しぜんしゅぎてきごびゅう、naturalistic fallacy)とは、哲学者G・E・ムーアが1903年の著作『倫理学原理』で提示した概念で、自然的な事実や性質から道徳的な善悪を直接推論する論法の誤りを指します。
ムーアは「善」は自然的な性質(快楽、生存、進化的適応など)には還元できない独自の概念であると主張しました。「自然だから良い」「進化的に有利だから正しい」「人間の本性だから認めるべき」といった論法はすべて、この誤謬に陥っています。
また関連して、哲学者デイヴィッド・ヒュームが指摘した「である(is)からであるべき(ought)は導けない」という「is-ought問題」も同系統の議論です。事実の記述から規範的命題を論理的に導くためには別途価値前提が必要であり、それを飛ばして結論を出すことが誤謬の核心です。
具体的な誤謬パターンには次のようなものがあります。
- 「この行動は自然界でも見られるから問題ない」
- 「科学的に人間の本能だから仕方ない(容認すべき)」
- 「昔からの慣習だから正しい」
倫理学・医療倫理・政策論争などで頻繁に現れる誤謬であり、批判的思考の訓練において重要な概念とされています。
使い方・例文
「肉食は自然だから倫理的に問題ない」「人間は競争する生物だから弱者を助けなくてよい」という主張は、いずれも自然主義的誤謬の典型例として哲学の授業などで取り上げられます。
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