暗黙の自己とは?
あんもくのじこ
暗黙の自己とは、自分では意識せずに行動や判断に影響を与えている自己の側面で、無意識の自動的なプロセスによって形成された自己像のことです。
暗黙の自己(implicit self)とは、心理学において、本人が意識的に認識しておらず自覚しにくい自己に関する信念・態度・評価の総体を指します。意識的に「自分はこういう人間だ」と語れる「顕在的自己(explicit self)」とは対比される概念で、自動的・非意識的なプロセスを通じて形成され、日常の行動や判断に影響を与えます。
暗黙の自己の概念は、社会心理学や認知心理学の分野で発展しました。測定には、反応時間を利用した「潜在連合テスト(IAT)」などの手法が用いられ、本人が意識的に回答する質問票では捉えられない自己評価を間接的に測定します。
暗黙の自己には以下のような特徴と側面があります。
- 自動的処理:意識的な思考を介さず、素早く自動的に発動されます。
- 感情との結びつき:幼少期の経験や繰り返しの学習によって形成され、感情反応と強く結びついています。
- 顕在的自己との乖離:本人が自己申告する自己像と必ずしも一致せず、矛盾することもあります。
- 行動への影響:職場での意思決定、対人関係の築き方、プレッシャー下での行動などに無意識のうちに影響を与えます。
暗黙の自己の研究は、自尊心・自己効力感・ステレオタイプなどの理解を深めるとともに、心理療法やコーチングの分野でも自己理解を促進するための重要な視点を提供しています。自分でも気づいていない自己像が行動を左右しているという知見は、人間の心理の複雑さを示すものです。
使い方・例文
「自分は失敗しやすい人間だ」という意識はないのに、重要な場面でつい尻込みしてしまうのは、暗黙の自己が低い自己効力感を持っている可能性を示しています。
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