摺り漆とは?
すりうるし
木地などの素地に生漆を直接塗り込んでは拭き取る工程を繰り返すことで、木目を生かしながら艶を出す漆塗りの技法です。
摺り漆(すりうるし)は、日本の伝統的な漆工技法のひとつで、素地(主に木材)に生漆を薄く塗り付け、布や手のひらで丁寧に擦り込んだのち余分な漆を拭き取る工程を何度も繰り返す方法です。下地処理を最小限に留めることで、木材本来の木目や質感を透かして見せながら、漆の保護力と独特の艶を付与できる点が最大の特徴です。
作業の流れは大まかに以下のとおりです。
- 木地を整え、必要に応じて目止め(木の孔を埋める処理)を行う
- 生漆を少量ずつ素地に塗り、手や布で全体に擦り込む
- 余分な漆を完全に拭き取り、温湿な環境(漆風呂)で乾燥・硬化させる
- 乾燥後にさらに研磨し、同じ工程を複数回繰り返す
摺り漆によって仕上げた器や家具は、木目の美しさと漆の深みのある光沢が調和した独特の風合いを持ちます。蒔絵や変塗りのような装飾性より、素材の自然美を重視する日本の美意識を体現した技法といえます。
主に椀・盆・箱・家具などの木工品に施され、使い込むほどに漆が木に馴染んで風合いが増すため、日常的に使う器の仕上げとして古くから愛されてきました。現代でも木工作家や漆芸家がこの技法を用いた作品を制作しています。
使い方・例文
木目の美しい欅(けやき)の椀に摺り漆を施すことで、塗りの重厚感と木の自然な表情を同時に楽しむことができます。
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