安全保障のジレンマとは?
あんぜんほしょうのじれんま
安全保障のジレンマとは、ある国が防衛目的で軍備を増強すると、他国がそれを脅威と受け取り対抗的に軍拡し、結果として全体の安全が低下する逆説的な状況のことです。
安全保障のジレンマ(security dilemma)とは、国際政治学の重要概念のひとつで、ある国家が自国の安全を高めるために軍事力を増強する行動が、他国には攻撃的意図の表れと映り、対抗措置として軍備拡大を招くという悪循環の構造を指します。
各国が自衛のために合理的な行動をとった結果、誰も望まない緊張・対立・軍拡競争が生じるという点で「ジレンマ」と呼ばれます。この概念はジョン・ハーツらによって冷戦期に理論化され、国際関係論のリアリズム的視点の核心に位置づけられています。
安全保障のジレンマを生み出す主な要因として以下があります。
- 意図の不透明性(防衛目的か攻撃目的か外部からは判断しにくい)
- 無政府状態の国際社会(上位の権力が存在しない)
- 先制攻撃の利益(先手を打った方が有利な場合がある)
- 情報の非対称性と不信感の累積
このジレンマを緩和する手段としては、軍備管理条約・信頼醸成措置(CBM)・多国間安全保障の枠組みなどが挙げられます。現代でも米中関係や朝鮮半島、台湾海峡などの地政学的緊張を理解する上で不可欠な概念です。
使い方・例文
A国が周辺国からの脅威に対応して海軍力を増強すると、B国がそれを自国への脅威と見なして軍備を拡大し、A国がさらに増強する——この連鎖が安全保障のジレンマの典型例です。
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