和事とは?
わごと
和事とは、歌舞伎における恋愛や情愛を題材にした柔らかく優美な演技・演目の様式のことです。
和事(わごと)とは、歌舞伎の演技様式のひとつで、公家や町人の若者が恋愛や情愛に絡む場面を柔らかく優美に演じるスタイルです。勇壮で力強い「荒事(あらごと)」と対をなす概念で、江戸時代に上方(大阪・京都)で発達した演技様式です。
和事は、初代坂田藤十郎(1647〜1709)が大坂で確立したとされています。軟弱で色気があり、恋に溺れる若い男性(俗に「和事師」と呼ばれる役者がこうした役を得意とした)を繊細かつ情感豊かに表現するのが特徴です。
和事の代表的な演目・場面の特徴として以下が挙げられます。
- 男性主人公が恋愛に翻弄される「濡れ場」や「泣き場」が多い
- 動きが穏やかで、台詞回しに抑揚や情感が重視される
- 「廓(くるわ)もの」と呼ばれる遊里を舞台とした演目に多い
- 衣装や化粧も華やかさより上品さ・色気を重視する
一方、江戸で発達した荒事(初代市川團十郎が創始)と和事は、地域性や町人文化の違いを反映した対照的な様式として歌舞伎の多様な表現を形成してきました。現代の歌舞伎においても和事は重要な演技ジャンルとして継承されています。
使い方・例文
「曽根崎心中」や「夕霧名残の正月」など、恋愛や心中を題材とした演目で和事の演技様式が見られます。役者が涙をこらえながら細やかな感情表現を見せる場面が和事の真骨頂です。
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