世親とは?
せしん
世親(ヴァスバンドゥ)とは、4〜5世紀ごろのインドの仏教哲学者で、兄無著とともに唯識思想を大成した人物です。
世親(せしん、サンスクリット語でヴァスバンドゥ)は、インドの仏教思想史において最も重要な論師の一人です。生没年は諸説あり、4世紀から5世紀にかけて活躍したと考えられています。
世親はもともと小乗仏教(説一切有部)の立場で修行し、『倶舎論(アビダルマコーシャ)』を著しました。これはサンスクリット語で書かれた精緻な教義体系の解説書であり、仏教哲学の百科全書とも呼ばれます。その後、兄の無著(アサンガ)の影響を受けて大乗仏教に転じ、唯識(ヨーガーチャーラ)思想の体系化に大きく貢献しました。
唯識思想とは、あらゆる存在は「識(こころ)」の働きによって成り立つとする哲学で、外界の実在を否定し心のあり方を徹底的に分析します。世親はこの立場から『唯識二十論』『唯識三十頌』などを著し、後の法相宗・唯識宗の基礎を築きました。
世親の思想は中国・日本にも伝わり、玄奘三蔵による漢訳を通じて東アジア仏教に深い影響を与えました。日本では法相宗の根本論師として崇敬されており、奈良の薬師寺や興福寺でもその教えが受け継がれています。
使い方・例文
仏教哲学や唯識思想について学ぶ文脈で、「世親の『唯識三十頌』は唯識思想の核心を30の詩節にまとめた古典である」のように言及されます。
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