ルーカス批判とは?
るーかすひはん
ルーカス批判とは、政策変更に伴い人々の行動が変化するため、過去データに基づくマクロ経済モデルによる政策評価は信頼できないという主張です。
ルーカス批判(Lucas critique)は、経済学者ロバート・ルーカスが1976年に発表した論文で提唱した、経済政策評価に関する根本的な批判です。
従来のマクロ計量経済モデルは、過去のデータから推定したパラメータ(例えば「消費と所得の関係」)が将来も安定的に維持されると仮定して政策の効果を予測していました。しかしルーカスは、人々は合理的な期待を形成するため、政府が政策を変更すれば、その政策変化を見越して行動を変えると指摘しました。そのため、過去のデータで推定したモデルのパラメータは政策変更後には使えなくなり、政策効果の予測は誤ったものになると主張しました。
例えば、「過去のデータでは減税すると消費が増えた」という関係があったとしても、人々が「減税は将来の増税につながる」と予想してすでに貯蓄を増やしていれば、同じ減税をしても消費は増えないかもしれません。
ルーカス批判がマクロ経済学に与えた影響は大きく、次の方向性を促しました。
- ミクロ的基礎(家計・企業の最適化行動)に立脚したモデルの構築
- 動学的確率的一般均衡(DSGE)モデルの発展
- 合理的期待仮説の主流化
ルーカスはこの研究などを含む業績により1995年にノーベル経済学賞を受賞しています。現代の中央銀行モデルや政策分析にも、ルーカス批判を踏まえた設計が組み込まれています。
使い方・例文
中央銀行が「インフレ率が高くなったら金利を上げる」というルールを変更した場合、企業や家計はその変更を予測して事前に行動を修正するため、過去の統計関係そのままでは政策効果を見積もれないという場面でルーカス批判が引用されます。
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