ピッチ系炭素繊維とは?
ぴっちけいたんそせんい
ピッチ系炭素繊維とは、石油や石炭の精製副産物であるピッチを原料として製造した炭素繊維のことです。
ピッチ系炭素繊維とは、石油精製や石炭コークス製造の副産物である「ピッチ」を原料として製造される炭素繊維の一種です。炭素繊維にはポリアクリロニトリル(PAN)を原料とするPAN系と、ピッチを原料とするピッチ系の2種類が存在します。
ピッチ系炭素繊維の製造では、まずピッチを精製・重合して「メソフェーズピッチ」と呼ばれる液晶状態の前駆体を作成します。これを溶融紡糸して繊維化し、不融化処理を経て高温で炭素化・黒鉛化することで炭素繊維が得られます。特に高温(2500℃以上)で黒鉛化処理を行うと、炭素原子の六角形網目構造が繊維軸方向に高度に配向し、極めて高い弾性率が実現されます。
PAN系と比較したピッチ系の主な特徴は以下のとおりです。
- 弾性率(ヤング率)が非常に高い(超高弾性率グレードで1000GPa超も可能)
- 熱伝導率・電気伝導率がPAN系より高い
- 引張強度はPAN系に比べてやや低い傾向がある
- 原料コストが比較的低い一方、製造工程が複雑
高弾性率と高熱伝導性が求められる人工衛星の構造材や宇宙望遠鏡の鏡筒、電子機器の放熱部材などに利用されています。剛性を最優先する用途でPAN系炭素繊維の補完的な存在として、ニッチながら重要な役割を担っています。
使い方・例文
「人工衛星の寸法安定性を高めるためピッチ系炭素繊維複合材を採用した」というように、宇宙・航空分野で熱変形を抑えたい部品の素材選定の文脈で登場します。
この用語をシェア
最終更新: