ヒスパノ・モレスク陶器とは?
ひすぱのもれすくとうき
ヒスパノ・モレスク陶器とは、中世のイベリア半島でイスラム陶芸技術とヨーロッパ文化が融合して生まれた独特のラスター彩陶器です。
ヒスパノ・モレスク陶器(Hispano-Moresque ware)は、中世のイベリア半島(現在のスペイン・ポルトガル)でイスラム系陶芸師(ムーア人)の技術とキリスト教ヨーロッパの意匠が融合して発展した陶器の様式です。「ヒスパノ」はヒスパニア(イベリア半島)を、「モレスク」はムーア(北アフリカ・イスラム系の人々)を意味しており、その名が示すように二つの文化の融合から生まれました。
この陶器の最大の特徴は「ラスター彩(Lustre)」と呼ばれる金属光沢のある釉薬装飾です。銀・銅などの金属塩を含む絵具を白い錫釉の上に描き、低温で還元焼成することで、虹のような金属光沢が生まれます。この技術はもともとイスラム世界(バグダッドやエジプトなど)で発達し、イベリア半島を経由してヨーロッパへ伝わりました。
ヒスパノ・モレスク陶器の主な特徴は次の通りです。
- バレンシア地方のマニセスが主要な生産地として14〜16世紀に栄えました
- イスラム的な幾何学文様やアラベスクと、ヨーロッパ的な紋章・植物文様が組み合わさった独特のデザインが見られます
- ルネサンス期のヨーロッパ貴族に珍重され、イタリア・フランス・低地諸国などへ輸出されました
- この技術はイタリアのマジョリカ焼きへの影響源ともなりました
ヒスパノ・モレスク陶器は、文化交流が生んだ芸術の傑作として、現在も世界各国の美術館に重要なコレクションとして所蔵されています。
使い方・例文
ヒスパノ・モレスク陶器は、美術史の教科書や中世・ルネサンス期の工芸品を扱う展覧会で紹介されます。スペインのバレンシア地方を訪れる際に、地元の陶磁器博物館でその実物を見ることができます。
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