パリンプセストとは?
ぱりんぷせすと
パリンプセストとは、元の文字を消して再利用された羊皮紙や石板のことで、転じて過去の痕跡が重なり合う状態を指す言葉です。
パリンプセスト(palimpsest)とは、元来はギリシア語で「再び削り取られたもの」を意味し、古代から中世にかけて文字を書き消して再利用した羊皮紙や石板を指します。高価な羊皮紙を節約するために、先に書かれた文章を削り落とし、その上に新たな文章を書き重ねる技法が広く行われていました。
しかし消し切れずに残った下層の文字は、現代の赤外線・紫外線撮影や画像解析技術によって解読できる場合があります。このようにして失われたと思われていたアルキメデスの数学的著作やキケロの著作が再発見された事例が知られています。歴史・文献学において、パリンプセストは「消えかけた過去の知識」を蘇らせる重要な史料として高い価値を持ちます。
現代では、この概念は文学・哲学・文化論に広がり、以下のような比喩的用法で使われます。
- 過去の記憶や経験が現在の思考・行動に痕跡を残す様子
- 都市空間における歴史的建造物と現代的改変の重層性
- テクストが先行作品の引用・改変によって成り立つ間テクスト性
フランスの文学理論家ジェラール・ジュネットはパリンプセストを著書のタイトルに用い、文学におけるテクスト間の関係を分析する重要な概念として位置づけました。複数の時代・意味が重なり合う文化・思想の探求において、この語は有力な思考の道具となっています。
使い方・例文
「この街並みはパリンプセストのように、中世の路地の上に近代の建築が重なっている」のように、歴史や記憶の層の重なりを表現するときに使われます。
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