トリプシンとは?
とりぷしん
トリプシンとは、膵臓で産生されてタンパク質を分解する消化酵素で、小腸での栄養吸収に欠かせない働きをします。
トリプシン(trypsin)は、セリンプロテアーゼと呼ばれる酵素群に属するタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)のひとつです。ヒトをはじめとする脊椎動物の膵臓で合成・分泌され、小腸での消化を担います。
膵臓からは不活性型の「トリプシノーゲン」として分泌されます。これが十二指腸に到達すると、腸粘膜の酵素(エンテロキナーゼ)の働きによってトリプシノーゲンの一部が切断され、活性型のトリプシンに変換されます。さらにトリプシン自身が別のトリプシノーゲンを活性化する「自己活性化」も起こります。このような前駆体として合成・分泌される仕組みは、膵臓自体がトリプシンで消化されるのを防ぐための生体保護機構です。
トリプシンはタンパク質のペプチド鎖において、塩基性アミノ酸(リシン・アルギニン)のカルボキシル基側を特異的に切断します。この選択性の高さから、生化学・分子生物学の研究分野でも以下のように広く活用されます。
- タンパク質の構造解析(質量分析前の酵素消化)
- 細胞培養時の継代操作(細胞の剥離)
- 医薬品製造における原料処理
消化の場においては、ペプシン(胃)から引き継いでタンパク質をさらに細かいペプチドへと分解し、小腸での吸収を効率よく進める役割を担います。
使い方・例文
細胞培養の実験では、フラスコに接着した細胞を次の容器に移す「継代」の際に、トリプシン溶液で細胞を底面から剥がす操作が日常的に行われます。
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