ダイレクトシネマとは?
だいれくとしねま
ダイレクトシネマとは、演出や介入を一切排し、現実をありのままに記録することを目指した1960年代のドキュメンタリー映画の手法です。
ダイレクトシネマ(Direct Cinema)は、1960年代初頭にアメリカで発展したドキュメンタリー映画の一様式です。軽量化された16mmカメラと同期録音技術の普及を背景に、監督やカメラマンが現場に溶け込み、被写体の日常や出来事をできる限り干渉せずに撮影することを基本姿勢とします。
フランスの「シネマ・ヴェリテ」とほぼ同時期に生まれましたが、両者には思想的な違いがあります。シネマ・ヴェリテがカメラの存在そのものを積極的に利用して現実を引き出すのに対し、ダイレクトシネマはカメラをできるだけ透明な存在にし、現実が自然に展開するのをひたすら観察・記録する姿勢をとります。
代表的な作品や作家としては以下が挙げられます。
- ロバート・ドリュー:政治家の選挙戦を追った『プライマリー』(1960年)はこのスタイルの先駆とされる
- D・A・ペネベイカー:ボブ・ディランのツアーを記録した『ドント・ルック・バック』
- フレデリック・ワイズマン:社会施設の内部を長期取材する作品群で知られる
ダイレクトシネマの意義は、ドキュメンタリーに「観察映画」という新たな地平を開いたことにあります。現在でも、報道映像、自然ドキュメンタリー、フライ・オン・ザ・ウォール型の作品に受け継がれており、映像制作の基礎的な美学として広く参照されています。
使い方・例文
選挙期間中の候補者に密着し、演説・スタッフとの会話・移動の様子をナレーションなしで記録した映像が、ダイレクトシネマの典型例です。
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