シネマ・ヴェリテとは?
しねまべりて
シネマ・ヴェリテとは、1960年代に発展したドキュメンタリー映画の手法で、小型カメラと同期録音を駆使してありのままの現実を映し出すスタイルです。
シネマ・ヴェリテ(cinéma-vérité)はフランス語で「映画の真実」を意味し、1960年代初頭にフランスを中心に台頭したドキュメンタリー映画の潮流です。ソ連の映画作家ジガ・ヴェルトフが提唱した「キノ・プラウダ(映画の真実)」の思想を継承しつつ、軽量の16ミリカメラや携帯式の同期音声録音機が普及したことで実現しました。
この手法の核心は、撮影者の存在を隠さず、被写体との相互作用をあえて映像に組み込む点にあります。インタビュアーが質問し、被写体がカメラに直接語りかけることも珍しくありません。これはカメラの存在を意識させない「フライ・オン・ザ・ウォール」方式のダイレクト・シネマとは対照的なアプローチです。
代表的な作品としては、ジャン・ルーシュとエドガー・モランが共同監督した『ある夏の記録』(1961年)が挙げられます。街行く人々に「あなたは幸福ですか?」と問いかけ、その反応を記録したこの作品は、映画製作者自身が映像の中に登場し、観客にフィルム制作の過程そのものを見せることで、現実とメディアの関係を問いかけました。
シネマ・ヴェリテが映像文化に与えた影響は大きく、テレビのドキュメンタリー番組、ニュース報道の手法、さらにはモキュメンタリーと呼ばれるフィクション形式にまで受け継がれています。「作られた映像」と「生の現実」の境界を意識させるこの様式は、映像メディアの本質を問い続ける重要な遺産といえます。
使い方・例文
映画史の授業や映像制作の学習では、シネマ・ヴェリテとダイレクト・シネマの違いを比較する際によく登場します。
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