アポトロペーとは?
あぽとろぺー
アポトロペーとは、邪悪なものを遠ざけるための魔除け的な表現や身振り・象徴を指す修辞・民俗上の概念です。
アポトロペー(apotropaion)とは、ギリシャ語の「アポトロパイオス(apotropaios)」に由来し、「邪悪を転じて遠ざける」という意味を持つ概念です。文化・宗教・芸術の領域において、災厄・悪霊・不幸を防ぐために用いられる象徴、身振り、言葉、図像の総称として用いられます。
歴史的には古代ギリシャ・ローマ、エジプト、中東などの文化圏で広く見られ、建物の入り口に置かれたゴルゴンの顔の彫刻、指で特定の形を作る身振り(コルナなど)、護符や呪符の着用といった多様な形をとりました。いずれも「見る者に恐怖を与えることで悪を追い払う」あるいは「神聖な力を借りて守護する」という論理に基づいています。
文学・修辞学の分野では、アポトロペーは邪悪な影響を言葉によって打ち消す表現技法を指すこともあります。縁起の悪い言葉をあえて口にして無効化する「口封じ」や、悪意のある予言を打ち消す祈り文句などがその例です。
現代においても、魔除けや縁起物の文化はアポトロペー的な発想に根ざしており、民俗学・文化人類学・比較宗教学において重要な研究対象となっています。芸術作品における怪物的・グロテスクな装飾も、この概念との関連で論じられることがあります。
使い方・例文
古代ギリシャの神殿外壁に刻まれたメデューサの顔や、イタリアの農村に今も残るコルナの手振りは、アポトロペーの代表的な事例として文化人類学の授業や展覧会の解説で登場します。
この用語をシェア
最終更新: