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目的の王国とは?

もくてきのおうこく

目的の王国とは、カント倫理学における概念で、すべての人が互いを目的として扱う理性的存在者の共同体の理念です。

目的の王国(もくてきのおうこく、独:Reich der Zwecke)は、18世紀ドイツ哲学イマヌエル・カントが『道徳の形而上学基礎づけ』において提示した倫理学上の概念です。すべての理性的存在者が互いを単なる手段としてではなく、つねに同時に目的として扱い合う理想的な共同体の理念を指します。

カントは「定言命法」として複数の定式を示しました。目的の王国の定式はその一つで、「あなたの意志の格率が、目的の王国における普遍的な法則として妥当するように行為せよ」という要請です。この概念の核心には次の要素があります。

  • 人格の尊厳:人間は理性を持つ存在として絶対的な価値(尊厳)を持つ
  • 手段化の禁止:他者を自己利益のための道具のみとして扱ってはならない
  • 普遍的立法:各人が自らの行動原則を、すべての成員に共通する法則として提案できる

目的の王国はあくまで理念的な共同体であり、現実に実現される政治制度ではありません。しかし、すべての人間が互いの人格を尊重し合う社会の理想像を示すことで、道徳的義務の根拠を与えます。

この概念は現代の人権思想や生命倫理、さらにはビジネス倫理においても参照されており、「人を手段としてのみ扱うな」という原則は広く共有された倫理的直観の基盤となっています。

使い方・例文

社員をコスト削減の道具としてしか見ない経営スタイルは、目的の王国の観点からは人格の尊厳を無視した扱いにあたると批判される。

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