生活世界とは?
せいかつせかい
生活世界とは、人々が日常生活の中で自明のものとして共有している経験や意味の基盤を指す哲学・社会学の概念です。
生活世界(Lebenswelt)は、ドイツの哲学者エトムント・フッサールが現象学の文脈で提唱した概念で、その後ユルゲン・ハーバーマスなどの社会学者にも引き継がれ発展しました。科学的・理論的な認識に先立って、人々が普段の生活の中で疑いなく前提としている経験・意味・価値の世界を指します。
フッサールは、近代科学が客観的な数量化・抽象化を追求するあまり、人間が実際に生きている具体的な経験の世界を見失っているという問題を指摘しました。生活世界とは、まさにその科学以前の素朴な経験の層であり、科学の基礎にもなるものとして重視されました。
社会学者のハーバーマスはこの概念をさらに展開し、生活世界を以下の三つの要素から構成されるものとして整理しました。
- 文化:共有された知識・信念・解釈の枠組み
- 社会:人々を結びつける規範・制度・関係
- 人格:個人のアイデンティティと能力
ハーバーマスはまた、資本主義の発展によって市場原理や官僚制(システム)が生活世界を侵食し、人々の自律的なコミュニケーションが阻害される「生活世界の植民地化」という現象を批判的に論じました。この概念は現代社会の問題を分析する理論枠組みとして今も参照されています。
使い方・例文
社会学や哲学の論文で「市場経済の論理が生活世界に浸透し、人々の日常的なコミュニケーションが商品化されている」という形で使われます。
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