有標性とは?
ゆうひょうせい
有標性とは、言語学において対立する二つの形式のうち、より特殊・複雑・制約が多い側を「有標」、より基本的・単純・広く使われる側を「無標」と区別する概念です。
有標性(markedness)は言語学の基本概念で、互いに対立する二つの言語形式を比較したとき、より特殊・複雑・分布が狭いものを「有標(marked)」、より基本的・単純・分布が広いものを「無標(unmarked)」と呼びます。プラーグ学派の音韻論者ニコライ・トルベツコイとロマン・ヤコブソンが20世紀初頭に体系化しました。
有標性は様々な言語レベルで観察されます。
- 音韻:有声音(b, d, g)は無声音(p, t, k)に比べて有標とされ、音声を持たない言語は少ない
- 形態:英語で複数形(dogs)は単数形(dog)より形式が多く有標、単数形が無標
- 語彙:「ライオネス(雌ライオン)」は有標、「ライオン」が無標(動物の一般的呼称に用いられる)
- 統語:受動文は能動文より有標とされ、使用頻度も低い
有標性は言語習得の研究にも活用されます。子どもは一般に無標の形式をより早く習得し、有標の形式はより遅く・難しく学ぶ傾向があるとされています。また、言語類型論では無標の特徴を持つ言語のほうが世界中に広く見られ、有標の特徴はより少数の言語にしか現れないという普遍的傾向が指摘されています。
使い方・例文
「言語学の授業で有標性を学ぶと、なぜ「医師」が一般的指称として使われ「女医」が特殊な指称として扱われるのかという社会的・言語的背景を理解する視点が得られます。」
この用語をシェア
最終更新: