想起説とは?
そうきせつ
想起説とは、人間の知識は生まれる前に魂がすでに知っていたことを思い出す(想起する)ことで得られるとする、プラトンの認識論的学説です。
想起説(アナムネーシス説、anamnesis)は、古代ギリシャの哲学者プラトンが提唱した知識論・魂論の中心的な学説です。プラトンの対話篇『メノン』『パイドン』『パイドロス』などで展開されており、「学ぶことは思い出すことである」という命題に集約されます。
プラトンによれば、人間の魂は肉体に宿る以前から存在しており、イデア界(永遠不変の真実在の世界)においてすべての真理・美・善を直接知覚していました。しかし肉体に生まれ落ちた際にその記憶は失われ、感覚世界の経験を通じてかつて知っていたことを徐々に「思い出す」のが学びであるとされます。
想起説の根拠として、プラトンは『メノン』のなかで次のような論証を示しました。ソクラテスが読み書きを知らない奴隷少年に対し、適切な問いかけだけを通じて幾何学の定理を「引き出す」場面が描かれます。少年が教わることなく答えに至れるのは、魂がすでにその知識を持っていたからだとされます。
この学説は以下の点で哲学史に大きな影響を与えました。
- 生得観念論(知識は経験より先に存在する)の先駆け
- 魂の不死・輪廻転生論と密接に結びつく
- デカルトや合理論哲学への布石
- 教育の本質を「知識の伝達」でなく「気づきの促進」と捉える視点の源流
現代では文字通り受け取られることは少ないものの、人間の認識の構造や教育哲学を論じる際に今も参照される重要な思想です。
使い方・例文
哲学の授業で「ソクラテスは教えるのではなく問いかけによって相手の知識を引き出した」と説明されるとき、その背景には想起説の考え方があります。
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