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人倫とは?

じんりん

人倫とは、ヘーゲル哲学における概念で、個人の道徳を超えた家族・市民社会・国家という社会的共同体の中で実現される倫理的な生の秩序を指します。

人倫(じんりん、Sittlichkeit)は、ヘーゲルが『法哲学』(1820年)などで展開した中心的な概念です。単なる個人の内面的な良心や義務感を意味する「道徳(Moralität)」と区別され、共同体・制度・慣習の中に客観化された倫理的な秩序を指します。

ヘーゲルは個人の道徳(カントの義務倫理学を念頭に置いた概念)は抽象的で不十分であり、真の倫理は具体的な社会的関係の中でこそ実現されると考えました。人倫は次の三つの段階からなります。

  • 家族:愛と感情的紐帯によって結ばれた最初の共同体
  • 市民社会:個々人が利益を追求しながら相互依存する経済的・法的秩序
  • 国家:家族と市民社会の対立を止揚し、人倫が最も高次に実現される共同体

ヘーゲルにとって国家は抑圧機構ではなく、個人が自由を完全に実現できる最高の倫理的共同体です。個人は国家の法律・制度・慣習の中に生きることで、はじめて真の自由と倫理的な生を享受できるとされます。

この考え方はマルクスによって「国家は支配階級の道具にすぎない」と批判されましたが、コミュニタリアニズム(共同体主義)など現代倫理学でも人倫の議論は重要な参照点であり続けています。

使い方・例文

ヘーゲルの「人倫」という概念は、倫理を個人の良心だけに求めるのではなく、法・慣習・共同体の制度の中に求める立場を指す語として哲学の教科書に登場します。

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