両立論とは?
りょうりつろん
両立論とは、自由意志と決定論は矛盾しないとする哲学的立場で、人間の行動が因果的に決定されていても道徳的責任は成立すると主張します。
両立論(りょうりつろん、compatibilism)とは、哲学における自由意志論争の主要な立場のひとつで、「自由意志」と「決定論」は両立可能であると主張する考え方です。決定論とは「世界のあらゆる出来事は先行する原因によって必然的に決定されている」とする立場であり、これが正しければ人間の行動も物理法則に従う因果連鎖の結果であることになります。
一見すると、決定論が正しければ人間に「本当の意味での自由」はなく、道徳的責任を問うこともできないように思えます。しかし両立論者はこの見方を否定し、自由意志の意味を再定義することで両者の共存を主張します。両立論の代表的な論証としては次のようなものがあります。
- 古典的両立論(ヒューム、ミルら):自由とは「強制・強迫がない状態で自分の欲求に従って行動できること」であり、決定論と矛盾しない
- 階層的欲求理論(ハリー・フランクファート):自分の欲求について反省的に評価し、どんな欲求を持つかを選べる能力が自由の核心であるとする
- 応答感受性理論:道徳的理由に感応して行動を変える能力があれば責任が成立するとする
両立論に対する批判として、「決定論が真なら過去の原因から逃れられない以上、真の自由はない(コントロール不可能性論)」という非両立論があります。また、そもそも決定論を否定する「自由意志論(リバタリアニズム)」も別の立場として存在します。両立論は現代の道徳哲学・法哲学・刑事責任論において、責任帰属の根拠として広く採用されている考え方です。
使い方・例文
「決定論が正しくても、本人が理由に基づいて行動を選択できる状態であれば責任は問えるとする両立論の立場から、刑事責任の根拠が説明されることがある。」倫理学・哲学・法哲学の授業や文献で登場します。
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