ベクトル自己回帰とは?
べくとるじこかいき
複数の時系列変数を同時にモデル化し、互いの過去値で予測し合う多変量時系列分析の手法です。
ベクトル自己回帰(Vector Autoregression、VAR)は、複数の時系列変数を一組のシステムとして扱い、各変数を自分自身と他のすべての変数の過去の値(ラグ)の線形結合で表すモデルです。1980年代にクリストファー・シムズが提唱し、マクロ経済学の実証分析に広く普及しました。
たとえば「GDP成長率」「インフレ率」「政策金利」の3変数を扱う場合、それぞれの現在値を3変数すべての過去p期分の値で説明する方程式を3本立てます。推定は方程式ごとにOLSを適用でき、計算が比較的シンプルです。
VARモデルから得られる主な分析ツールとして、グレンジャー因果性検定(ある変数が他を予測するか)、インパルス応答関数(あるショックが時間とともに各変数にどう波及するか)、分散分解(予測誤差の分散をどの変数が説明するか)があります。
VARは変数間の動態的な相互作用を制約なく捉えられる柔軟性が強みです。一方でパラメータ数が多くなりがちなため、ラグ次数の選択やベイズ型VARによる正則化が実務上の課題となります。中央銀行や研究機関の経済予測・政策分析で標準的に使われています。
使い方・例文
中央銀行が金利・インフレ・失業率をVARモデルに組み込み、利上げショックが各変数に与えるインパルス応答を推定して金融政策の効果を分析します。
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