トラクトリクスとは?
とらくとりくす
トラクトリクスとは、紐の端を直線に沿って引きずったとき、もう一方の端が描く曲線で「曳き線」とも呼ばれる数学的な図形のことです。
トラクトリクス(tractrix)とは、ある点(端点)を直線(漸近線)上に沿って動かしながら、一定の長さの紐でつながれたもう一方の点が描く軌跡を指す曲線です。「引きずる」を意味するラテン語「trahere」に由来し、日本語では「曳き線(えきせん)」とも呼ばれます。17世紀の数学者クロード・ペロー(Claude Perrault)が時計職人の問題として提起したとされ、ライプニッツらが研究を深めました。
トラクトリクスの数学的な特徴は以下の通りです。
- 漸近線(x軸)に無限に近づきながらも決して交わらない形状をしています。
- 曲線上の任意の点における接線の長さ(接点から漸近線までの部分)が一定の値(紐の長さ)になります。
- 直交座標では陽関数の表示が複雑なため、媒介変数や弧長パラメータで表すことが多いです。
トラクトリクスを軸の周りに回転させると「擬球(pseudosphere)」と呼ばれる曲面が得られます。擬球は一定の負の曲率を持ち、非ユークリッド幾何学(双曲幾何学)のモデルとして重要な役割を果たします。
このように、トラクトリクスは素朴な物理的操作から生まれながら、微分幾何学・非ユークリッド幾何学と深くつながる重要な曲線です。
使い方・例文
重い荷物を紐で斜めに引っ張りながら直線上を歩くとき、荷物が描く軌跡がトラクトリクスに相当します。数学では微分方程式や曲面論の例題として登場します。
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