テトラメチルシランとは?
てとらめちるしらん
テトラメチルシランとは、NMR分光法で化学シフトの基準点(0 ppm)として使われるケイ素化合物です。
テトラメチルシラン(英: tetramethylsilane、略称: TMS)は、化学式Si(CH₃)₄で表される有機ケイ素化合物です。常温では無色透明の液体で、引火性を持ちますが毒性は低く、化学的に安定した物質です。
最も重要な用途は、核磁気共鳴(NMR)分光法における内部標準物質としての役割です。NMRでは分子中の原子核が発する信号の位置を「化学シフト(δ)」という値で表しますが、この基準をどこに置くかが問題になります。TMSはすべての12個の水素原子(プロトン)が等価であり、かつ有機化合物の多くのシグナルよりも高磁場側に単一の鋭いピークを与えるため、δ = 0 ppmの基準として国際的に採用されています。
TMSが標準として選ばれた理由は次の通りです。
- すべての水素が化学的に等価で単純なシングレットを示す
- ほとんどの有機化合物のシグナルと重ならない高磁場領域に現れる
- 沸点が低く(約27℃)、測定後に揮発除去しやすい
- 多くの有機溶媒に溶けやすく、化学的に不活性
¹H NMR(プロトンNMR)だけでなく、¹³C NMRでも同じくδ = 0 ppmの基準として用いられ、現代の構造解析化学において欠かせない試薬となっています。
使い方・例文
有機化合物の構造決定を行う際、NMRサンプルに少量のTMSを加えることで、スペクトルの横軸(化学シフト軸)の基準が定まり、ピーク位置の比較が可能になります。
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