グラッシとは?
ぐらっし
グラッシとは、油彩画において非常に薄く溶いた透明な絵具の層を重ねることで深みと光沢を生み出す技法のことです。
グラッシ(glazing、グレージングとも)は、油彩画における代表的な上塗り技法の一つです。すでに乾燥した絵具層の上に、油脂や樹脂を多く含む媒材(メディウム)で極限まで薄く溶いた透明または半透明の絵具をごく薄く塗り重ねる方法を指します。
グラッシの最大の特徴は、光が透明な絵具層を通り抜けて下層で反射し再び透過することで生まれる、独特の奥行きと発光感のある色彩効果にあります。単色の不透明絵具では表現できない、複雑で豊かな色の深みと輝きを実現できます。複数の色のグラッシ層を重ねることで、微妙なニュアンスの色調変化や立体感も表現できます。
ルネサンス期からバロック期にかけてのヨーロッパ絵画において広く用いられ、レンブラントやヤン・ファン・エイク、ティツィアーノらの作品でその効果が高く評価されています。特に肌の色や布地のつやを表現する際に多用されました。技法的には、まず不透明絵具でアンダーペインティング(下塗り)を施し、完全に乾燥させてからグラッシを重ねるのが基本的な手順です。各層が完全に乾燥していることが重要で、層の間に亀裂が生じないよう「太った上に痩せた」という油彩の基本原則(ファットオーバーリーン)の逆方向での運用が求められます。現代でも写実系・古典技法系の画家に受け継がれています。
使い方・例文
油彩で人物の肌や宝石・布地を描く際に「透明感が出ない」と感じたとき、グラッシを重ねることで奥行きのある色表現が可能になります。美術史の授業では、レンブラントの肌の温かみを例にグラッシが説明されることがあります。
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