空とは?
くう
空とは、仏教哲学の根本概念で、あらゆる存在は固定した実体を持たないという思想です。
空(くう)は、サンスクリット語「シューニャター(śūnyatā)」の訳語で、大乗仏教の核心をなす哲学的概念です。「すべての存在・現象は固定した独立した実体(自性)を持たない」という意味を持ちます。
この概念を体系的に論じたのは2世紀頃のインドの哲学者・龍樹(ナーガールジュナ)で、著書『中論』において「縁起」(あらゆるものは相互依存の関係によって成り立つ)と「空」が不可分であることを示しました。つまり、「空」とは「何もない」という虚無を意味するのではなく、「固定的な本質を持たないがゆえに、関係性の中でさまざまな形をとって存在する」という積極的な意味を持ちます。
般若心経には「色即是空 空即是色(しきそくぜくう くうそくぜしき)」という有名な句があります。これは「形あるもの(色)はすべて空であり、空こそが形あるものの本質である」という意味で、空の概念を凝縮した表現です。
空の思想は日本の美意識や文化にも深く影響しており、茶道・能・水墨画などにおける「余白」「間(ま)」の概念とも結びついています。また、禅の修行においても「空」への気づきが悟りへの道とされます。
使い方・例文
「般若心経を唱える」場面や「色即是空の意味を問う」といった文脈のほか、哲学・心理学の議論で「自己という実体はない」という文脈で「空の思想」として言及されることがあります。
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