直観主義倫理学とは?
ちょっかんしゅぎりんりがく
直観主義倫理学とは、道徳的真理は論理的推論や自然的事実ではなく、直観によって把握されるという立場の倫理学理論です。
直観主義倫理学(intuitionism in ethics)とは、「善」「正しい」などの道徳的概念は、経験的事実や論理的推論によって定義・証明できるものではなく、人間の道徳的直観によって直接認識されるという立場をとる倫理学の理論体系です。
この立場の根幹にあるのは、道徳的性質は自然的性質(快楽・苦痛・利益など)に還元できないという主張です。G.E.ムーアは著書『倫理学原理』(1903年)において、善を自然的性質で定義しようとする試みを「自然主義的誤謬(naturalistic fallacy)」と呼んで批判し、直観主義の基盤を築きました。
主要な論者と主張には以下のようなものがあります。
- G.E.ムーア:「善」は単純で分析不可能な非自然的性質であり、直観によってのみ捉えられる
- H.A.プリチャード:義務(正しさ)も直観によって認識され、功利性の計算とは独立している
- W.D.ロス:複数の「一応の義務(prima facie duties)」が存在し、状況に応じて直観で優先順位を判断する
直観主義倫理学は、功利主義や義務論のように単一原理ですべての道徳判断を導くことを拒否し、日常的な道徳感覚を重視する点で支持を集めました。一方で批判もあり、直観が文化・個人によって異なる点や、直観が対立したときの解決方法が不明確な点が指摘されています。現代倫理学においても道徳実在論や応用倫理学の文脈で参照される重要な立場です。
使い方・例文
「嘘をつくことは論理的な証明を待たずとも直感的に悪いとわかる」という日常的な感覚が、直観主義倫理学の出発点として挙げられます。
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