摂動論とは?
せつどうろん
厳密には解けない方程式を、小さなずれ(摂動)を加えた近似として段階的に解く物理・数学の手法です。
摂動論(perturbation theory)とは、完全には解析的に解くことができない問題を「厳密解が既知の単純な問題」に「小さな修正(摂動)」を加えた形として表現し、その修正を段階的に足し合わせながら近似解を求める理論的手法です。物理学・数学・工学の広い分野で用いられます。
基本的なアイデアは次のとおりです。まず「ε(エプシロン)」などの小さなパラメータを導入し、解を「εの0次(摂動なし)+εの1次補正+εの2次補正+…」という級数展開として表します。εが十分小さければ、高次の補正を無視しても実用的な精度の解が得られます。
代表的な応用分野は以下のとおりです。
- 量子力学:原子のエネルギー準位の計算で、水素原子の厳密解を基に、電場・磁場の影響(シュタルク効果・ゼーマン効果)を補正として加える。
- 天体力学:太陽系の惑星軌道は二体問題として楕円軌道が厳密解だが、他の惑星の引力による「軌道のずれ(摂動)」を順次加えて計算する。
- 素粒子物理学:量子電気力学(QED)における電子・光子の相互作用をファインマンダイアグラムを用いた摂動展開で計算する。
ただし、摂動パラメータが大きい場合や、系が共鳴・カオスを示す場合には摂動論の収束が保証されず、別の手法が必要になります。
使い方・例文
水星の近日点移動は古典的な摂動論では説明がつかず、一般相対性理論による補正が必要であることが歴史的に重要な検証事例となりました。
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