存在論的差異とは?
そんざいろんてきさい
存在論的差異とは、「存在者(もの)」と「存在そのもの(存在)」を根本的に区別するハイデガーの哲学的概念です。
存在論的差異(ontologische Differenz)は、ドイツの哲学者マルティン・ハイデガーが提唱した概念で、「存在者(Seiendes)」と「存在(Sein)」の間にある根本的な違いを指します。これはハイデガー哲学の核心をなす区別であり、主著『存在と時間』(1927年)を中心に展開されました。
存在者とは、机・人間・宇宙といった、具体的に「ある」ものすべてを指します。一方、存在とは、それらが「存在している」という事実そのもの、あるいは存在者が存在者として現れてくる根拠・地平のことです。ハイデガーは、従来の哲学が存在者を問うことに終始し、「存在とはそもそも何か」という問い(存在問題)を忘却してきたと批判しました。これを「存在忘却」と呼びます。
この区別が重要な理由は以下の点にあります。
- 科学や形而上学は存在者の性質や関係を研究するが、存在そのものは問わない
- 存在は存在者のように「対象」として取り出せず、常に背景として働く
- 人間(現存在)のみが存在について問うことができる
存在論的差異の概念は、その後のフランス現代思想(デリダ・レヴィナスなど)にも大きな影響を与え、形而上学批判の出発点として現代哲学に引き継がれています。
使い方・例文
「ハイデガーは、目の前にあるコップ(存在者)と、そのコップが『ある』という存在そのものを区別することが哲学の根本問題だと説いた。」
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