中野重治とは?
なかのしげはる
中野重治は、20世紀の日本を代表するプロレタリア文学の作家・詩人で、反権力の姿勢と詩的な文体で知られます。
中野重治(なかの しげはる、1902〜1979年)は、福井県坂井郡金津町(現あわら市)生まれの小説家・詩人・評論家です。東京帝国大学文学部独文科在学中から文学・政治運動に関わり、プロレタリア文学運動の中核として活動しました。
中野は1920年代後半に「戦旗」などのプロレタリア文学誌に参加し、詩・小説・評論の三分野で精力的に執筆しました。代表的な初期の詩「雨の降る品川駅」は、植民地朝鮮から来た同志の見送りを題材に、連帯と惜別を情感豊かに詠んだ作品として広く知られています。
作家としての主な業績は以下の通りです。
- 「村の家」(1935年):特高警察による弾圧を受け転向を迫られる主人公と父親の葛藤を描いた短編で、転向文学の傑作とされます。
- 「梨の花」(1955年):自伝的要素を持つ長編小説で、戦前の政治・文化の断面を描きました。
- 「甲乙丙丁」(1970〜):晩年に取り組んだ長編小説で、戦時期の知識人の姿を描いています。
中野は戦前に投獄・転向を経験しながらも、戦後は再び日本共産党に入党し文化活動を続けました。反権力・反体制の姿勢を生涯貫き、文学的誠実さと政治的立場を両立させた知識人として後世の評価が高い人物です。詩の分野でも情感と知性を兼ね備えた独自の詩風を打ち立てました。
使い方・例文
「雨の降る品川駅」は国語の授業や詩のアンソロジーで取り上げられることが多く、プロレタリア文学を代表する詩として広く親しまれています。
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