アクセプタンス&コミットメント療法とは?ACT(アクト)の基本を解説
公開 2026年8月23日
アクセプタンス&コミットメント療法とは
アクセプタンス&コミットメント療法(ACT、アクトと読まれることが多い)とは、不安や悲しみといったつらい感情や思考を無理に消し去ろうとするのではなく、あるがままに受け入れた上で、自分が大切にしたい価値観に沿って行動していくことを目指す心理療法の一種です。認知行動療法の流れをくむ療法のひとつに位置づけられています。
従来の心理療法の多くが症状や否定的な思考そのものを取り除こうとするのに対し、ACTでは少し異なるアプローチをとる点が大きな特徴です。
提唱された背景
ACTは1980年代以降、アメリカの心理学者スティーブン・ヘイズらによって体系化されました。ヘイズらは、思考や感情をコントロールしようとする努力そのものが、かえって苦しみを増やしてしまうことがあるという考え方に着目しました。
不快な感情を無理に排除しようとすればするほど、それにとらわれてしまい、日常生活や本当にやりたいことに向き合うエネルギーが失われてしまう、という問題意識が、ACTが生まれる背景にあったとされています。
アクセプタンスとコミットメントという二つの柱
ACTという名前が示す通り、この療法には大きく二つの柱があります。ひとつは「アクセプタンス」で、つらい感情や思考を無理に取り除こうとせず、まずはあるがままに受け止める姿勢のことです。
もうひとつは「コミットメント」で、自分にとって本当に大切な価値を明確にし、それに基づいた具体的な行動へ関与し続けることを指します。感情そのものを変えようとするのではなく、価値に沿った行動を積み重ねていくことに重点を置く点が、ACTの大きな特徴といえます。
マインドフルネスと活用される領域
ACTはマインドフルネスの技法を取り入れている点も特徴のひとつです。今この瞬間の感覚や感情に意識を向け、それを評価や判断を加えずに観察する練習を通じて、感情との付き合い方を学んでいきます。
うつや不安障害、慢性疼痛、職場のストレスマネジメントなど幅広い領域で応用されており、感情を敵視せず、うまく付き合っていく姿勢を養う心理療法として注目されています。
他の心理療法との違い
従来の認知行動療法の一部では、否定的な思考の内容そのものを検証し、より現実的な考え方に置き換えていくアプローチが重視されてきました。これに対しACTでは、思考の内容を直接変えようとするのではなく、思考や感情との距離の取り方そのものを変えていく点に特徴があります。
つらい考えが浮かんだとしても、それに巻き込まれすぎず、あくまで一つの思考として距離を置いて眺められるようになることを目指す点は、他の心理療法とは異なるACTならではの視点とされています。
こうした考え方は心理相談の現場だけでなく、書籍やワークシートなどを通じて一般の人が日常生活の中でセルフケアとして取り入れられる形でも紹介されており、専門的な治療の枠を超えて広がりを見せています。