赤の女王仮説とは?
あかのじょおうかせつ
赤の女王仮説とは、生物が絶えず進化し続けなければ生存競争に負けてしまうという進化生物学の考え方で、特に寄生者と宿主の共進化や有性生殖の利点を説明するために提唱されました。
赤の女王仮説(Red Queen Hypothesis)は、1973年にアメリカの進化生物学者リー・ヴァン・ヴェイレンが提唱した進化理論です。名称はルイス・キャロルの小説『鏡の国のアリス』に登場する赤の女王の台詞「同じ場所にとどまるためには、全力で走り続けなければならない」に由来します。
この仮説の核心は、生物は自らの絶対的な「進化の速度」ではなく、他の生物との「相対的な競争」の中で常に変化し続けなければ絶滅してしまうという考え方です。特に次の場面で重要な説明力を持ちます。
- 寄生者と宿主の軍拡競争:寄生虫が宿主に適応すれば宿主は新たな免疫を持ち、それに対して寄生虫もまた進化するという、終わりなき共進化の循環
- 有性生殖の有利性:無性生殖より効率が悪いように見える有性生殖が維持される理由として、遺伝的多様性を生み出して寄生者への抵抗力をランダム化できるからだと説明する
- 種の絶滅率の一定性:ヴァン・ヴェイレンは化石記録から、生物の絶滅確率は時代によらず一定であることを発見し、環境変化より生物間の競争こそが絶滅の主因と主張した
現代では、この仮説は進化生物学・生態学・医学(感染症の進化など)にわたって広く応用されており、抗生物質耐性菌の出現やインフルエンザウイルスの変異など、現実の現象を説明するうえでも重要な枠組みとなっています。
使い方・例文
毎年インフルエンザのワクチンを打ち直す必要があるのは、ウイルスが人間の免疫系に対抗して絶えず変異し続けるためで、これは赤の女王仮説が示す「終わりなき共進化」の典型例です。
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