イブン・アラビーとは?
いぶんあらびー
イブン・アラビーとは、12〜13世紀のイスラーム世界最大の神秘主義思想家で、「存在一性論」を体系化したスーフィーの哲学者です。
イブン・アラビー(Ibn Arabi、1165〜1240年)は、アンダルシア(現スペイン)のムルシアに生まれたイスラーム神秘主義(スーフィズム)の最重要思想家です。フルネームはムヒー・アッディーン・ムハンマド・イブン・アリー・イブン・アラビー。その思想の深さから「最大のシャイフ(al-Shaykh al-Akbar)」と称されます。
彼の思想の中核は「存在一性論(ワフダト・アル=ウジュード)」です。これは「真の存在は神のみであり、被造物の存在はすべて神の自己顕現である」という考え方で、イスラーム神学の伝統に新プラトン主義的要素を融合させた独自の形而上学体系です。この思想はのちのイスラーム哲学・神学・詩文学に計り知れない影響を与えました。
主要著作には以下があります。
- 『メッカ啓示(フトゥーハート・アル=マッキーヤ)』:神秘主義・神学・実践論を網羅した膨大な百科全書的著作
- 『賢者の宝石(フスース・アル=ヒカム)』:預言者たちの精神的本質を論じた凝縮した哲学書
晩年はダマスクスに定住し、同地で没しました。現在もダマスクスのサーリヒーヤ地区にある廟は巡礼の場となっています。その思想はイスラーム世界を超え、ルネサンス期ヨーロッパの神秘思想やユダヤ教カバラとの比較研究も盛んに行われています。
使い方・例文
イスラーム哲学や神秘主義の講義では「イブン・アラビーの存在一性論はスピノザの汎神論との比較で論じられることが多い」という形で言及される。また中東・中央アジアの詩人たちにも大きな影響を与えたとして、文学研究でも登場する。
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