蒸し糊とは?
むしのり
蒸し糊とは、染色や友禅など日本の伝統的な染め物で使われる、防染・色止めのために布に塗る糊のことです。
蒸し糊は、日本の染色技法、とくに友禅染や型染において、染料が染み込んではいけない部分を防いだり、染め付けた色を布に定着させるために用いられる特殊な糊です。「蒸し」の工程と密接に結びついていることからこの名があります。
友禅染のプロセスでは、染色後に布を蒸すことで染料と繊維を化学的に結合させる「蒸し」工程が欠かせません。蒸し糊はこの工程の前後に重要な役割を担います。
- 防染糊:模様の輪郭部分や色を付けたくない部分に塗り、染料の浸透を物理的に遮断する
- 挿し友禅用糊:各区画に色差しをした後、色同士が混ざらないよう境界を保持する
- 蒸し後の水洗いで除去:蒸し工程が終わると糊は水で洗い流され、布が仕上がる
蒸し糊の主成分は、もち米から作る「もち糊」や糠(ぬか)を混ぜた「糠糊」、海藻から抽出した「海藻糊」などが伝統的に使われてきました。現代では化学合成の糊も利用されています。
蒸し糊は染色の精度と発色の鮮やかさを左右する重要な素材であり、職人の技術と経験が糊の塗り方・蒸し時間の管理に反映されます。伝統工芸の継承において欠かせない知識のひとつです。
使い方・例文
友禅染の職人が、模様の輪郭に蒸し糊を引いてから染料を差し込むことで、色のにじみを防いで精細な模様を表現した。
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